「サブスク(サブスクリプション)」と「メンバーシップ」。
どちらも「定額でお金を払う」という点では似ていますが、実はその「目的」と「得られる価値」には大きな違いがあります。
今回は、混同されがちなこの2つの違いを、利用者目線・ビジネス目線の両方からわかりやすく解説します。
1. ひとことで言うと何が違う?
結論から言うと、一番の違いは「お金を払う対象(何に対して対価を払うか)」です。
- サブスクリプション:「機能・サービス・モノ」にお金を払う(利用権・お得感重視)
- メンバーシップ:「人・コミュニティ・ブランド」にお金を払う(応援・所属感重視)
覚え方のコツ
- サブスク = 「損得(コスパ)」で判断される
- メンバーシップ = 「愛着(ファン心理)」で判断される
2. 違いがわかる比較表
それぞれの特徴を一覧表にまとめました。
| 特徴 | サブスクリプション | メンバーシップ |
| 重視する点 | 機能性、利便性、コスパ | 関係性、応援、帰属意識 |
| ユーザーの心理 | 「元を取りたい」「便利だから使う」 | 「応援したい」「仲間に入りたい」 |
| 提供するもの | モノ、使い放題、アクセス権 | 限定コンテンツ、特典、交流の場 |
| 代表的な例 | Netflix, Amazon Prime, 定期便 | YouTubeメンバーシップ, オンラインサロン, ファンクラブ |
| 解約の理由 | 「使わなくなった」「高いと感じた」 | 「熱が冷めた」「方向性が合わなくなった」 |
3. サブスクリプション:お得と便利を買う
サブスクリプション(Subscription)は、雑誌の「定期購読」が語源です。
ユーザーは、「その料金を払うことで、どれだけ生活が便利になるか、得をするか」をシビアに判断します。
語源的な意味は「sub(下)」+「scribe(書く)」から派生し、「契約の下に署名する」という意味を持ちます。
【特徴】
- モノ・機能が主役: 映画が見放題、音楽が聴き放題、サプリが毎月届くなど。
- 比較されやすい: 「A社よりB社の方が安いから乗り換えよう」というスイッチが起きやすい。
- 成功の鍵: 「使い続けなきゃ損」と思わせる利便性の高さ。
【具体例】
- Spotify / Apple Music(音楽)
- Adobe Creative Cloud(ソフト利用権)
- 家具・家電のサブスク
4. メンバーシップ:つながりと特別感を買う
メンバーシップ(Membership)は、会員としての「資格」や「地位」を指します。
ユーザーは、機能そのものよりも、「その人(ブランド)と繋がっていたい」「特別な扱いを受けたい」という感情で課金します。
語源的な意味は「member(会員)」+「ship(状態・資格)」で、あるグループの一員であることを示します。
【特徴】
- 人・世界観が主役: クリエイターの裏側が見れる、会員限定のバッジがつくなど。
- 比較されにくい: 「この人が好きだから」という理由なので、他社と比較されにくい(代替が効かない)。
- 成功の鍵: ファンとの密なコミュニケーションや、特別な体験の提供。
【具体例】
- YouTubeのチャンネルメンバーシップ
- noteのメンバーシップ機能
- アーティストのファンクラブ
- オンラインサロン
5. どちらを選ぶべき?(ビジネス視点)
もしあなたがこれからサービスを始めるなら、自分のビジネスがどちらの属性に近いかを考える必要があります。
A. 「サブスク」に向いているケース
- 実用的なツールや消耗品を提供している。
- 「量(使い放題)」や「質(高機能)」で勝負できる。
- 誰が提供しているかよりも、「何が使えるか」が重要。
B. 「メンバーシップ」に向いているケース
- クリエイター、講師、アーティストなど個人の活動。
- 共通の趣味や目的を持つコミュニティを作りたい。
- 「機能」よりも「あなたの考えや活動」に価値がある。
まとめ:境界線は曖昧になりつつあるけれど…
最近では、「機能も充実している(サブスク的)けれど、ファンコミュニティもある(メンバーシップ的)」というハイブリッドなサービスも増えています。
しかし、基本を理解しておくと整理がしやすくなります。
- 「お得」を提供するならサブスク
- 「絆」を提供するならメンバーシップ
あなたが求めているもの、あるいは提供したいものはどちらでしょうか? この違いを理解することで、より自分に合ったサービス選びや運営ができるはずです。















