こんにちは、山田どうそんです。
この記事では、動画撮影するときに必要な録音の基礎知識と整音の基礎知識について解説しています。
動画撮影で重要なのは、映像以上に音の品質です。
映像は多少画質が荒くても見続けてもらうことはできますが、音の品質が悪いとあまりに不快で見続けてもらうことはできません。
そのぐらい音の品質というのは重要になってきます。
ドラマや映画を見ていて、スムーズに楽しんで見ることができるのは、音のクオリティがとても高いからです。
なので、動画制作でクオリティの高い撮影したいのであれば、音声の知識も必要になってきます。
音についての基本知識から、録音、整音までしっかりと解説していきます。
3種類の音源を理解する
音源には大きく次の3つの種類があります。
- ことば
- S.E
- M.E
この3つを映像とうまく組み合わせて動画制作を行っていきます。
ことばについて
「ことば」は動画制作の音の要素で最も重要な要素の一つです。
ここについて、深く説明する必要はないと思いますが、「ことば」が明快で聞き取りやすいかどうかはとても重要な要素になります。
ただ、「ことば」と一言で言っても、いくつか種類があります。
- インタビューやセリフ
- ナレーション
- アフレコ
大きく、「ことば」の音声にはこの3つの種類があります。
インタビューやセリフ
映像制作の一番元となる音声素材です。同録が基本で、映像と音声を同期させて最終的に動画を仕上げていきます。出演者一人ひとりに、ラベリアマイクをつけて録音するか、ガンマイクでしっかりと音声録音する必要があります。
ナレーション
映像とは、別の角度から解説を加えるのがナレーションです。よく、ドキュメンタリー番組などでナレーションが、しっかりと音が録音できる場所で別撮りしている音声で映像を解説していることがあると思います。
アフレコ
アフレコは、アフターレコーディングの略で、映像のなかの人が話すのに合わせて録音して、後から差し替えて利用するものです。録音場所があまりにうるさくて、声だけがどうしても録音できない場合に利用します。映像の雰囲気とあまりに乖離しないように、マイクのすぐそばで話しているような感じにならないように録音するのがコツです。
S.E
S.EとはSound Effect(サウンドエフェクト)の略で、音響効果の略称です。撮影現場の環境音や人工的につける効果音などの擬音のことを言います。
環境音は、その場で撮影している場所の音声のことです。例えば、公園で撮影しているのであれば子供が遊んでいる声や、噴水などがある場合は、噴水の音など、その場所にある音を録音します。
環境音は、同録でそのまま撮影するだけではなく、別撮りで、環境音だけを鮮明に録音しておいて、あとで映像に追加する場合があります。
そして、効果音は大きく2種類あります。
現実音と、心象音です。
現実音というのは、画面に写っている物が実際に出している音のことです。例えば、鳥の鳴き声とか、エンジンの音とかがこれにあたります。そのほかにも、ビールが注がれる音や、料理している時の肉がやける音など、映像に迫力を出すために、誇張して音を付け足す場合があります。
もう一つは、心象音です。例えば、ショックを受けたときに「ガーン」という音を鳴らして心象を音として擬音化したものです。よく、漫画やアニメなどで利用されていますよね。現実にはありえない音を擬音化して表現することで、その時の心象を強く表現することができます。
M.E
M.EとはMusic Effect(ミュージックエフェクト)の略で、簡単に言うとBGMのことです。「ことば」は倫理的な役割を持っているのに対して、M.Eは情緒的な役割を持っています。
よく、映画やドラマなどで、怖い雰囲気の場面で、BGMが暗ーくなっていますよね。昔の映画の「ジョーズ」とかがわかりやすいと思います。
「ディーディン。ディーディン。ディンディン、ディンディン、ディンディン、ディンディン…」
あのBGMが鳴ると、「ジョーズ」が今にも襲って来そうですよね。
このように、BGMには、映像に情緒的な雰囲気を出す重要な役割があります。
そのほかにもM.Eには大きく3種類の役割があります。
- 時間の流れを作る
- 印象を後押しする
- ノイズを目立たなくする
時間の流れを作る
映像はいろいろなカットでつながっています。そのときに、同じ曲が流れていると、その時間は同じ流れだということがわかりやすくなります。こうすることで、動画全体が見やすくなります。
印象を後押しする
先ほどの「ジョーズ」のところで説明したように、映像の雰囲気を後押しする効果があります。「楽しい」「怖い」とかの情緒的雰囲気を表現するときに、その雰囲気にあったBGMを流すことでより映像をわかりやすくすることができます。
ノイズを目立たなくする
ノイズ除去をしても、どうしてもノイズが微かに残ってしまう場合があります。そのような場合にBGMが入っていると、ちょっとしたノイズは目立たなくなるので、音質が上がったように感じます。
ほかにも、オープニングBGMを流すことで、全体の雰囲気を伝えることができますし、エンドBGMで余韻を残すこともできます。BGMは動画制作ではとても重要な役割を担っているわけです。
音の基礎知識
音の基礎知識として、振幅と周波数は必ず覚えておきたい知識です。
音というのは、発生源で生じた振動が空気を振動させて、鼓膜に伝わることで人間は音として認識しています。
その音を「波形」で表すことができて、音の大きさを「振幅」、音の高低を「周波数」として表すことができます。
この図形のように音の縦の波の大きさが音の大小を表しています。これを振幅と言います。
そして、この図のように音の波の幅が開いていると低い音で、幅が狭くなると高い音ということになります。
このように、音というのは、縦軸の振幅の大きさで音量を表して、横軸の波の幅が開いているか狭くなっているかという周波数で音の高低を表しています。
これらの波形を、録音機器などで録音して記録し、データ化することで再度この波形を再生して音声として改めて聞くことができるというわけです。
量子化(ビットレート)とサンプリング周波数
音声の録音や再生の出入り口では、アナログ録音という手法で行われています。ただ、アナログ録音は伝送でノイズが入ったり、減衰が起きやすいので、今の機材ではアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換して記録や処理を行います。
そして、このデジタル化したものを次のように表現します。
- 振幅方向の分割=量子化(ビットレート)
- 周波数の方向分割=サンプリング周波数
例えば録音機材で、16bitか24bitのどちらで録音するか設定ができます。大きなビットレートで録音することでより質の高い音で録音することができると考えてもらうとわかりやすいと思います。
そして、サンプリング周波数は、44.1kHzか48kHzのどちらか選択する設定ができる機材があります。44.1kHzというのは、CDで録音する時のサンプリング周波数です。
例えば、48kHzというのは1秒間に4万8000回データを記録するという意味になります。
つまり、48kHzの方がより細かく分割しているので原音に近い形で録音できるというわけです。ですから、基本的には、録音するときは48kHzで録音することをおすすめします。
ダイナミックレンジについて
振幅方向の分割の大きさをビットレートと言いますが、ダイナミックレンジとも言います。
ダイナミックレンジというと、ちょっと難しく聞こえますけど、つまりは音の大きさのことです。
ダイナミックレンジは、「広い」「狭い」という表現をします。
ダイナミックレンジが広いというのは、大きい音から小さい音までの差が大きいということを意味しています。
例えば、オーケストラは、フルートとかクラリネットとかソロで演奏すると、とても小さな音になりますが、全ての楽器で演奏すると大きな音になりますよね。
つまり、オーケストラはダイナミックレンジが広いということになるわけです。
逆に、普通の会話とか話し言葉は、怒鳴ったり叫んだりしない限りは、ある程度一定の音になりますから、ダイナミックレンジが狭いということになります。
周波数と可聴域について
人間の耳で聞くことができる音の周波数を可聴域と言います。人は、20Hzから20kHzぐらいまでの音しか聞くことができません。
つまり、可聴域は20Hzから20kHzということです。
なので、この範囲の音をしっかりと録音することができれば、全ての音を表現できるということになります。
ただ、音として再現される周波数の上限は、サンプリング周波数の約半分ほどです。
つまり、48kHzで録音していた場合、その半分の24kHzまでの音を再現できるというわけです。
ということは、人の耳で聞き取れる範囲は、20kHzまでですから、その倍の40kHz以上のサンプリング周波数で録音することができれば、人の耳で聞くことができる音を全てデジタル化して再現できるということになります。
音楽CDのサンプリング周波数が44.1kHzなのは、多少余裕を持って設定されているということになります。
ただ、実際は、20kHz以上の音は聞こえていなくても、無意識レベルで感じているという説もあります。
最近では、ハイレゾと言って、48kHz以上のサンプリング周波数の96kHzのサンプリング周波数で録音した、よりクオリティの高い音源で音楽などを録音、再生できる環境も整ってきています。
デシベル(dB)と音量比
音量は、デシベル(dB)という単位で表すのが一般的です。
0dBがビットレートの最大値に定義されています。つまり、0dBを超える音は正常に記録できないということになります。
音割れというのは、0dBを超えた状態のことを言います。
一般的な録音現場では、-6dBから-12dBぐらいで録音するのが最適な音量で録音する目安になります。
もし、録音現場で低いデシベルで録音した場合は、編集作業で-6dBから-12dBになるように音量調整をしてどのようなデバイスでも聞きやすいように調整するのが基本です。
代表的なデシベル表示による音量比は次のようになりますので目安として覚えておいてください。
- +12dB:約4倍
- +6dB:約2倍
- +3dB:約1.4倍
- ±0dB:1倍
- -3dB:約0.7倍
- -6dB:約0.5倍
- -12dB:約0.25倍
編集の際は、この目安を意識して調整するとわかりやすいと思います。
モノラルとステレオ
ステレオというのは、左用、右用と2つの音声がセットになっているものを言います。音楽はステレオ形式で録音して、左右から違う音を出すことによって、立体的な音にして表現することが多いです。
モノラルというのは、単一の音声ソースで、左右のスピーカーから同じ音声を出すことで中央から音が聞こえるようにすることができます。
ナレーションやインタビュー形式で多く利用されていて、これらはモノラルで録音して再生するのが一般的です。
人の声は、モノラルにしないと、左右で不自然な聞こえ方になるケースが多いので、人の声は基本的にモノラルで録音して再生します。そうすると視聴者にも聞きやすい音声で届けることができます。
マイクの基礎知識
質の高い音質で録音する上でマイクの知識はとても重要になります。
マイクの設定や種類によって、録音できる音声に大きな違いがでますので、マイクの基礎知識はしっかりと身につけておくことをおすすめします。
アンバランス伝送とバランス伝送
映像制作で伝送されるオーディオ信号はアナログが主流です。そのアナログデータをデジタルデータに変換して保存しています。
このアナログオーディオには大きく分けて2つの種類があります。一つは、アンバランス伝送、もう一つがバランス伝送です。
アンバランス伝送で有名な端子は、RCA端子やカラオケマイクなどに利用されている2極タイプのフォーンプラグ(TS端子)というのがあります。
RCA端子は、よくプレイステーションとかのゲームをTVに取り付ける配線として利用されていたので見たことがある方も多いと思います。
そして、こちらがよくカラオケマイクなどに利用されているフォーンプラグです。
アンバランス伝送は、1つのチャンネルの音声信号を1つの信号線で送ります。そのため、ケーブルの途中でノイズを拾ってしまうと、そのままミキサーとかの機器で増幅してしまうので、ノイズが出やすくなってしまいます。
そして、もう一つの伝送方法のバランス伝送で有名なのはXLR端子と、3極タイプのフォーンプラグ(TRS端子)です。
XLR端子は、このような端子で、通称キャノン端子と呼ばれています。
ちなみに、キャノン端子のキャノンは、カメラメーカーのキャノンとは関係ありません。
この画像の上側をメス、下側をオスと言います。
この端子は、ケーブルの脱着時に音声にノイズが入らないように工夫がされています。
そして、これが3極タイプのフォーンプラグです。
2極タイプよりも、黒い線が一本多く入っているのがわかると思います。これもバランス伝送を行うことができる端子です。
バランス伝送の特徴は、1チャンネルの音声信号を2本の信号線を使って伝送します。そのため、ケーブルの途中で2本の信号がノイズを拾ってもノイズがきれいに打ち消される伝送方式になっています。つまり、ノイズに強い伝送方法になります。
HDMI端子やDVI端子とかは、このバランス伝送になっているため、ノイズが入りにくくデジタル信号をきれいに表示できるという特徴があります。
ダイナミックマイクとコンデンサーマイク
マイクの駆動方式にはダイナミックとコンデンサーで大きく違いがあります。
映像制作で利用されるマイクは主にコンデンサーマイクが利用されますが、コンデンサーマイクの場合、電源供給が必要になるので、オーディオレコーダーとかと併用して利用する必要があります。
よく、アナウンサーが街頭インタビューでこのようなハンドマイクを利用しているのを見たことがあると思います。
これらのマイクには、ダイナミックマイクを利用される場合がほとんどです。
ダイナミックマイクの長所は、
- 構造がシンプルで耐久性が高い
- 価格が安い
- 周囲の余計な音を広いづらい
というのがあります。
逆に短所は、
- 特に高い音などの細かい音の収録が苦手
- 小型化しづらい
というのがあります。
ともかくこのマイクは、頑丈なので、カラオケ店のマイクや、外に出てのインタビュー、ライブイベントなどでよく利用されています。
そして、コンデンサーマイクは、よく歌手がスタジオで録音するときに利用したり、ラジオ配信などで利用されているもので、見たことがある方も多いと思います。
コンデンサーマイクの長所は、
- 高い音域まで細かい音を収録することができる
- 小型化しやすい
という特徴があります。
そして、短所は、
- 取り扱いがデリケート
- 電源供給が必要
ということです。
コンデンサーマイクは、構造が複雑なので、湿度とかの変化にも弱くて壊れやすいです。
ちょっとした衝撃や、環境変化でも壊れてしまいます。
ただ、高品質な録音をする場合は、コンデンサーマイクを使うのが一般的です。ちょっとした振動も拾ってしまうので、ショックマウントやマイクスタンドと一緒に使うことをおすすめします。
2種類のコンデンサーマイク
コンデンサーマイクにも大きく2種類あります。一つは、一般型のコンデンサーマイク。もう一つは、エレクトレット・コンデンサー型(ECM)と言われるコンデンサーマイクです。
一般型のコンデンサーマイク
一般型のコンデンサーマイクは、周波数特性がフラットなので、全ての音を満遍なく録音できるという特徴があります。
ただ、デメリットは湿気に弱く比較的高額になってしまいます。
エレクトレット・コンデンサー型(ECM)のコンデンサーマイク
ECMも周波数特性はフラットですが、より聞きやすい音質で録音できるのが特徴です。小型で軽量になっていて、一般型のコンデンサーマイクに比べて、電源供給が少なくてすみまし、価格も安価に抑えることができます。
ただ、湿度に弱いのは同じです。
マイクの種類
マイクには用途によって使い分けるために大きく6種類のマイクがあります。
ハンドマイク
これは、Shure(シュア)というメーカーのSM63Lというハンドマイクです。
インタビュー用のハンドマイクとしてとても有名なマイクで、よくテレビで芸能リポーターが利用しているインタビューマイクです。
ハンドマイクは、ちょっとぐらいマイクの位置がずれても、しっかりと声を拾ってくれるのでインタビューマイクとしてよく利用されています。
ラージダイアフラムマイク
微細な音まで収録できるコンデンサーマイクの代表格です。
これは、RODE NT1-Aと言って、コンデンサーマイクの代表格です。RODEはオーストラリアのメーカーですが、コスパの高さで高い評価を受けているメーカーです。
ワンポイントステレオマイク
内部にマイク2本分の構造があって、ステレオ左右それぞれの音を1本で録音できるマイクです。低い電圧で動く、エレクトレットコンデンサーマイク方式が利用されていることが多いです。
カメラに内蔵されているマイクや、PCMレコーダーに主に利用されているのは、このワンポイントステレオマイクです。
これは、RODE ( ロード ) / NT4 ビデオカメラ用マイク XYステレオ型です。
このマイクは、コンデンサーマイクですが、耐久性が高く、外付けマイクとして利用することができます。
バウンダリーマイク
テーブルなどにおいて、多くの人の声を全て拾いたい時に利用するマイクです。
指向性が広いので、どの方角の音もしっかりと録音することができます。
これは、SHURE ( シュアー ) / CVB-B/Oというマイクです。
会議などで複数の人の声を録音する時に利用すると便利です。
ショットガンマイク
長い形態の銃のような形をしているマイクです。
これは、AZDEN ( アツデン ) / SGM-11で、超指向性を持ったガンマイクです。小型カメラや一眼レフカメラに装着して、マイクの向いている方向の音をクオリテ高く録音できるマイクとして有名です。
ラベリアマイク
とても小さなマイクで、衣服にピンを使って取り付けて利用するので、「ピンマイク」とも言われています。ワイヤレスの送受信期を使ったり、小型のレコーダーに取り付けて使います。
これは、TASCAM ( タスカム ) / TM-10LBというラベリアマイクです。
出演者一人ひとりに取り付けて使います。
マイクの周波数特性
マイクが聞き取れる範囲とその感度を表すのが周波数特性です。
基本的には、人間が聞き取れる可聴域の周波数範囲である、20Hz〜20kHzをなるべくフラットに録音できる方がいいですが、用途によっては、フラットじゃない方がいい場合もあります。
例えば、インタビューなど人の声を録音する場合は、人の声の周波数である、中音から低音の感度が高いマイクの方がいい場合もあります。
逆に、外で録音する場合は、風が強い場合もあるので、ウィンドノイズを低減されるために、低周波数域の音の感度を下げて録音できる機能のものがいい時もあります。
周波数の目安として覚えておいてほしいのですが、一般的には、男性の声は500Hzで女性の声は1kHzほどです。
よく、夏にセミが「ミーンミンミン」と鳴いていますが、セミの周波数は、4kHzです。
例えば、このAZDEN ( アツデン ) / SGM-PDIIは人の声を重視した設計になっています。低域の200Hz以下や高域の10kHz以上の音は、あまり録音できないようになっています。
マイクによって、どの周波数帯域を録音できるかに違いがありますので、その辺を考慮して、マイクを購入することで、用途にあったマイクを選んで購入することができるようになります。
マイクの指向特性
マイクの取り扱い説明書には、必ず指向特性が乗っています。ポーラパターンなどとも言われていて、音を拾う方向を示した図のことです。
このように、大きく5種類の指向特性があります。
- 無指向性
- 双指向性
- 単一指向性
- 鋭指向性
- 超指向性
です。
無指向性マイク
360度をほぼ同じ音声で録音できるマイクです。インタビューや対談、会議などを録音する時にオススメなマイクです。音楽の録音も無指向性マイクが利用されます。
双指向性マイク
マイクの前と後ろの両方に感度を持つマイクで、主に対談や会議などで利用される指向特性のマイクです。
単一指向性マイク
マイクの前方にだけ指向特性があるマイクで、アナウンスやインタビュー、ドラマなどで利用されるマイクです。ショットガンマイクは、単一指向性のマイクが多いです。
鋭指向性マイク
マイク前方のさらに狭い範囲に指向特性があるマイクです。多少、マイク後方の音も拾うことができます。
超指向性マイク
マイク前方のさらに狭い範囲だけに指向特性があるマイクです。ちょっと、方向がずれるだけでうまく録音できない場合がありますので、録音専用の音声担当の人がヘッドフォンを付けながら録音するのが一般的です。
その他の収録特性
マイクを購入する時に、指向特性以外でも、知っておきたい収録特性がいくつかありますので、そちらについて解説します。
正面感度
正面から音がマイクに加わった時、そのマイクがどのぐらいの電気信号を出力するかを表した数値になります。
例えば、これはサウンドハウスのラベリアマイクの正面感度を表しているものです。このマイクは、感度-42dBなので、42dB増幅して0dBになります。
難しいことは覚える必要がないので、簡単に説明すると、この数値が小さい方が感度がいいマイクということです。
例えば、感度-52dBのマイクと感度-42dBのマイクがあったとしたら、-42dBのマイクの方が10dB感度がいいということになります。
S/ N比
信号(Signal)、ノイズ(Noise)の比率のことです。S/N比が高いほど、相対的にノイズが低くなり、より性能の高いマイクということになります。
これは、サウンドハウスのコンデンサーマイクのS/N比です。87dBなので、この数値が高いほど、ノイズが入りづらいマイクということになります。他のマイクと比較して調べてみてください。
出力インピーダンス
出力インピーダンスとは、マイクの内部抵抗の大きさのことです。1キロオーム(Ω)以下のマイクを「ロー・インピーダンス」、1キロオーム(Ω)以上のものを「ハイ・インピーダンス」と言って分類します。
ハイ・インピーダンスはノイズが入りやすいので、もし長いケーブルを利用する場合は、ロー・インピーダンスのマイクを利用するようにします。
上は、ラベリアマイクの出力インピーダンスです。1.8kΩになっています。そして、下はコンデンサーマイクの出力インピーダンスです。200Ωになっています。
つまり、下のマイクは「ロー・インピーダンス」なので、ノイズが入りにくいマイクだということがわかるわけです。こちらも他のマイクと比較していろいろ調べてみてください。
その他のマイクサポート機材
よりクオリティの高い音を録音したり編集したりするために必要な機材についていくつかご紹介します。
ウィンド・スクリーン(ジャマー)
外で撮影、録音する時にマイクをそのまま裸で使ってしまうと、風の「ゴー」というノイズが必ず入ってしまいます。
その時に、利用するのがウィンドスクリーンです。
これは、RODEのガンマイクのウインドスクリーンです。このようなウレタン素材のものや、金属メッシュ製のものがあります。
特に風の強い日は、ウィンドジャマーと呼ばれる、毛状のカバーもあります。
ウィンドジャマーを使うときは、マイクのサイズにしっかりと合ったものを使うことが大事です。サイズが合っていなくて、ルーズに設置してしまうと、一眼レフカメラに装着したときに、画角にウィンドジャマーが入ってしまう場合があります。
ポップ・ガード
ポップ・フィルターやポップ・スクリーンとも呼ばれていて、機能としては、ウィンドスクリーンの一つです。
これは、TASCAM ( タスカム ) / TM-AG1というポップガードです。
インタビューなどで、マイクにあまりに口を近づけすぎるとリップノイズという「パッ、パッ」という唇が開くときのノイズが入ってしまう場合があります。
ポップガードを設置しておくことで、リップノイズが入りづらくなります。
ナレーションやアフレコでコンデンサーマイクを利用する場合は、基本的にポップガードを利用してリップノイズが入らないようにします。
価格も数千円程度で購入できます。
ヘッドフォン
録音するときや、編集する時は必ずヘッドフォンが必要です。ヘッドフォンにも種類があって、密閉型、オープンエア型、インナーイヤー型というのがあります。
基本的に、音声録音や編集では、密閉型のヘッドフォンを使います。オープンエア型やインナーイヤー型だと、外部からの音との区別が難しくなるからです。
耳当ての部分は、長く使っていると劣化してきて、密閉度も下がってくるので、古くなったら早めに交換した方がいいです。
おすすめなヘッドフォンは、SONY ( ソニー ) / MDR-V6 モニターヘッドホンです。
プロもよく利用しているヘッドフォンで、値段もそれほど高くないので何を使ったらいいかわからないという方はこちらのヘッドフォンを使ってみてください。
ミキサー
マイクから直接カメラへ入力しても構わないのですが、もしマイクが複数ある場合は、一度、音をまとめてから録音機器へ信号を出すと効率的です。
音をまとめることができる機器をミキサーと言います。
そのほかにも、
- ファンタム電源でマイクへ電源供給
- 録音モニターのレベル表示
- ヘッドフォン出力
- リミッター機能
という役割も持っています。
これは、ZOOM ( ズーム ) / F8n マルチトラックフィールドレコーダーです。
ただ、正直、一人で映像の撮影と録音を同時に行うのは厳しいので、ミキサーを使って録音する場合は、音声モニター担当者を用意して撮影した方がいいです。
レベルメーターの種類
録音したオーディオ素材は、再生するデバイスや機器で聞こえ方が大きく変わってしまうので、一定の基準がわかるメーターで確認してデータを書き出す必要があります。
ピークメーター
多くの一眼レフカメラや編集ソフトで利用されているメーターは「ピークメーター」が利用されています。
これは、Adobe Auditionのピークメーターです。
このようなピークメーターが、一眼レフカメラやPremiere Proなどにも装備されています。
ピークメーターは0dBを少しでも超えると不快なクリップが出てしまうので、厳密な計測ができるという点でメリットがあります。
ただ、ピークメーターは反応は細かいのですが、人の耳の音の大小の感じ方が一致しない場合もあるという弱点があります。
その場合、VUメーターやRMSメーターを併用することでより質の高い音声で編集、書き出しをすることができます。
VUメーター
VUというのは、「Volume Unit」の略で、音量を300ミリ秒間の平均で表すことができるメーターです。
瞬間的な音に左右されずに人の耳に近い聞こえ方で針が触れてくれるので、音圧感をよりしっかりと調整することができます。
無料で使えるVUメータープラグインで「LVL Meter」というのがありますので、興味のある方はダウンロードして使ってみてください。
RMSメーター
RMSとは「Root Mean Square」の略でVUメーターのように一定時間内の平均を表示させることができます。そのため、人の耳で聴いている感覚に近い形で音を計測できます。
これは、無料で使えるマスタリング用プラグインの「T-rackS 5 CS」です。
イコライザー(EQ)の機能に合わせて、ピークメーターやRMSメーターも利用できます。
これらのメーターを併用することでより高度な音声編集ができるということだけ知っておいてもらえたらと思います。
録音時のオートとリミッターについて
録音中に、突然大きな音量が入った時の対策として、「オートレベル」と「リミッター」という機能をオンにしておくことで音割れを防ぐことができます。
この2つは、自動で音の入力レベルを調整してくれますが、仕組みに大きな違いがありますので、ぜひ覚えておいてください。
録音機器の多くに、デフォルトで「オートレベル」と「リミッター」機能が入っています。
なので、もし使い方がわからないと、条件次第で不自然な音量で録音してしまう可能性あります。
オートレベル
オートレベルは、全体の音量を自動で平均的にする仕組みです。大きい音は小さく、小さい音は大きくしてある程度聞きやすい音量で自動調整してくれます。
ただ、あまりにも大きな音が入ると、その周辺の音量を自動で下げるため明らかに不自然な音になってしまう場合も多くあります。
ボタン一つで、簡単に設定できますが、あまりに音の大小にばらつきがある場合、不自然になりますし、編集もやりづらくなりますので、利用するには注意が必要です。
リミッター
リミッターは、設定した一定のしきい値を超えた音だけを意図的に抑える機能です。その部分の音だけを抑えるので他のしきい値内の音量には何も影響しません。
ただ、リミッターでも、あまりにも大きな音が1箇所できてしまった場合、その部分の音だけが押し潰されたような音になってしまうので、こちらも録音時に注意が必要になります。
カメラ専用マイクの基本
カメラ用のマイクをカメラに接続する場合、大きく2種類の端子で繋ぐ必要があります。
- 3.5mmミニプラグ
- XLR(キャノン)端子
のどちらかです。
3.5mmミニプラグ
ミニプラグは、ヘッドフォンなどあらゆる一般的なオーディオ機器で利用されているのでわかると思いますが、一点注意が必要です。ジャックの形状は同じなのですが、プラグの先端が2極のモノラルプラグと、3極のステレオプラグがあります。
こちらは、サウンドハウスのCANARE ( カナレ ) / F11というものです。先っぽの黒い線が一本しかありません。これは、2極のモノラルプラグです。
そして、こちらは、CANARE ( カナレ ) / F12というものです。先っぽの緑の線が2つありますよね。これは、ステレオプラグです。
例えば、ステレオ使用のジャックに2極のモノラルプラグを指して録音してしまうと、片方のチャンネルにしか音が入らないという動作になってしまいます。
なので、ミニプラグには、2極のモノラルプラグと、3極のステレオプラグがあるということを覚えておいてください。
XLR(キャノン)端子
業務用のカメラや音声の機材で多く利用されている端子です。
画像上側のメスの端子は原則として「入力」、下側のオスの端子は「出力」に使われます。
XLR(キャノン)端子は、接続部分もしっかりしていて、ケーブルも太いので壊れづらく、ノイズも入りづらいので業務用のカメラではこちらが多く利用されています。
これは、LUMIXのXLRアダプターです。ミニプラグでカメラに接続して、このアダプターにXLR端子マイクを装着して利用します。
マイクに必要な電源の種類
ハンドマイクのダイナミックマイクは、電源は必要ありませんが、カメラ用のマイクの多くは、エレクトレットコンデンサーマイクが利用されているので、何かしらの電源がないと利用することができません。
大きく3種類の電源を利用してカメラ用のマイクを利用します。
プラグインパワー
ミニプラグをカメラに接続することでカメラから駆動電源が送られることで使うことができるエレクトレットコンデンサーマイクです。最近の多くのカメラがプラグインパワーで利用できるようになっています。
ただ、デメリットとして、機器によっては安定性にばらつきが出たり、駆動しない、ノイズが入るというケースもあります。事前にチェックしてしっかりと録音できるかテストしておく必要があります。
電池
マイクそのものに電池を設定して使う機器もたくさんあります。メリットは、プラグインパワーの相性問題を避けることができますが、デメリットとしては、電池切れのリスクが出てしまいます。
カメラと別電源なので、撮影中に、マイクだけの電池が切れて、録音が途中からできていなかったというケースがありますので、このマイクを利用する場合は、別撮りでリスク管理をしておくことも大事になります。
ファンタム電源
ファンタム電源はおばけ電源とも言われていて、電気回路的に見えないのでそう言われています。
XLR(キャノン)端子で接続するコンデンサーマイクを利用するのに必要な電源です。多くの機種で48Vが利用されています。
ファンタム電源は、入れたまま端子を抜き差しすると故障したり、ノイズが入ったりする可能性がありますので、カメラの電源をオフにするか、48V電源をオフにしてから、マイクを外してください。
こちらは、LUMIXのXLRアダプターです。ファンタム電源を利用する場合は、赤枠の+48Vに切り替えてマイクを利用します。取り外す場合は、こちらをオフにするか、カメラの電源をオフにしてから、マイクを取り外してください。
マイクをカメラに搭載する方法
マイクをカメラに取り付ける方法は大きく2種類あります。カメラによっても、装着方法に違いがあります。
アクセサリーシュー
一眼レフカメラや一部の小型ビデオカメラの上部についているものです。
これは、僕のLUMIXのカメラのアクセサリーシューです。こちらにガンマイクを設置して録音します。
このアクセサリーシューは、ストロボを付けたりもできる汎用性の高いものになっています。
マイクホルダー
XLR端子が装着できる大きめの業務用カメラにはガンマイクを装着できるマイクホルダーがついている場合があります。
これは、SONYの業務用カメラですが、このようにマイクホルダーが最初からカメラについています。
マイクの太さはいろいろあるので、ホルダーは少し大きめに作られていて、ぐらつかないようにゴムなどで調整できるようになっている場合もあります。
ワイヤレスマイクの電波帯域
最近の映像撮影ではワイヤレスマイクは必須と言えます。ワイヤレスマイクには、多くの種類がありますので、電波帯域の基本を学んでおくことは大事なことです。
最近の周波数はUHFがほとんどです。UHFとは、極超短波のことで、300MHzから3GHzまでの帯域のことを差しています。
難しいことは覚える必要はありませんが、スマートフォンや、無線LAN、現在のテレビなどはUHFの帯域を利用しています。
この中で、ビデオ撮影の無線でよく使われるものに、800MHz帯のB型帯と呼ばれるものがあります。B型は「B帯」「800MH帯」とも呼ばれていて、誰でも機器を購入してすぐに利用することができます。
B帯と呼ばれるワイヤレスマイクの周波数帯は806.125MHzから809.750MHzまでの間で、0.125MHz刻みで全部で 30チャンネル使用することができます。
この 30チャンネルは日本でのみ利用できるものなので、海外では使うことができないので注意してください。
ちなみに、 30チャンネルあると言っても、近いチャンネルを利用すると干渉してうまく利用できませんので、各ワイヤレスマイク機器メーカーは、混信させないために、グループを作っています。
同じグループで利用できるマイクは7本〜8本までです。繁華街などで利用すると混信してうまく使えない場合もあるので、使う場所によっても使いやすい場所と使いにくい場所があります。
B帯を利用する無線マイクで有名な機種でSONY UWP-D21というのがあります。
この無線マイクを使うと、自動で空きチャンネルを探してくれるので、初心者でも簡単に使うことができます。
これは、SONYのB帯アナログワイヤレスチャンネルプランです。
このように、グループが8つの分かれていて、アナログワイヤレスと、デジタルワイヤレスで使用できるチャンネルやグループに違いがあります。
整音の基礎知識
整音というのは、言葉の通り音声を整える編集のことを言います。録音したデータのノイズを除去したり、音量を調整したりしてある程度整える作業のことです。
この作業をすることで、聞きやすい音声を映像と合わせて視聴者に届けることができるんです。
MAについて
整音のやり方を説明する前に、まずはMAについてざっと説明しておきます。MAというのは、「Multi Audio」の略で、映像につける音声を録音したり調整したりすること全般を言います。
作業の具体的な流れをざっくり説明すると、
- ナレーションの録音
- 整音 / 編集
- ミキシング
という工程になります。
映像に付随する音声には、
- ナレーション:別撮りの解説
- ダイアログ:映像と同時録音される音声
- BGM:背景音
- ジングル:場面の節目に挿入される短い音楽
- SE:演出のための音
- 環境音:現場の環境音
などがあります。
MAとはこれらをバランスよくミキシングして映像と一体感を作る作業のことです。
昔は、MAを行うには、専用のポストプロダクションスタジオで行うものでしたが、今の時代は、個人レベルでも機材があれば行うことができる時代になりました。
このような全体のことをMAと言い、整音は得に音を整えて聞きやすくするための作業工程だと思ってもらうとわかりやすいと思います。
整音3つのカテゴリー
音の処理をしていく上で、次の3つのカテゴリーがあります。
- 音の標準化
- 音質の管理
- 音響効果とノイズ処理
です。
音の標準化
テレビを見ていると、チャンネルごとに毎回音を変えなくてもどの番組でも一定の音量で聞けますよね?これは、ある基準を元に、「標準化」されているからです。
この音を標準化させるエフェクトとしていくつか種類があるので紹介します。
まずは、ノーマライズというエフェクトです。これは、そのブロックの最大レベルである、0dBギリギリまで音声を持ち上げてくれる機能です。全体的に音が低い場合に、この機能を使って、音を平均的に持ち上げてくれます。ソフトによっては、-3dBや-6dbまで持ち上げるという任意の設定ができるものもあります。
ただ、ノーマライズは、音が小さい部分を持ち上げて、音が大きい部分を抑えるわけではないので、音にあまりにばらつきがある場合は、その後に細かい調整が必要になる場合もあります。
そして、次はリミッターです。リミッターは、一部分だけ大きな音がある場合に、その部分を任意の指定した範囲内に押さえ込むことができるエフェクトです。
これと似たエフェクトでコンプレッサーというのがあります。リミッターは、大きな音を押さえ込むだけですが、コンプレッサーは、小さな音は持ち上げ、大きな音は押さえ込んで大きい音も小さい音も平均的にしてくれます。
録音時に、リミッターやコンプレッサーを設定して録音することもできますが、後から編集でエフェクトを使ってこの効果をかけることもできます。
音質の管理
音の標準化では、音の「量」についてのエフェクトについて解説しましたが、ここでは、音の「質」についてのエフェクトについて解説します。
音質を変化さえることができるエフェクトの一つで有名のは「イコライザー」です。
イコライザーは周波数別に音を変化させることができるエフェクトで、よく使われるエフェクトとして「グラフィックイコライザー」と「パラメトリックイコライザー」があります。
これは、Adobe Auditionのグラフィックイコライザーです。ある特定の、周波数を上げ下げして調整できるので、初心者はこちらのイコライザーを使った方がやりやすいです。
こちらは、パラメトリックイコライザーです。さらに細かく任意の周波数を上げたり下げたりして調整することができます。慣れてきたら、こちらのエフェクトで音質調整すれば、より自分が思ったような音質でエフェクトを加えることができるようになります。
そして、もう一つイコライザーの一種で、「ローカットとハイパス」「ハイカットとローパス」という機能があります。これは、録音機器についているものもあるので、録音時に設定することもできますが、低い周波数や高い周波数の音をカットできるエフェクトです。
例えば、外で録音した音源で風の音をカットしたい場合、「ローカットとハイパス」機能を使って、低い周波数の音を抑えます。そうすることで、風の音を意図的にカットすることができます。
逆に、「ハイカットとローパス」を使うと高い周波数の音をカットできます。電気ノイズなどの高い周波数の音をカットしたい場合に利用します。
イコライザーを使うまでもないという場合に、ON/OFFで簡単に切り替えてエフェクトをかけることができます。
音響効果とノイズ処理
音響効果として有名なエフェクトをいくつか紹介します。
リバーブというエフェクトは、残響を追加できるエフェクトです。カラオケなどで、エコーをかけたりすることがあると思いますが、あれと同じような効果です。リバーブにもいろいろな種類があるので、実際にAdobe Auditionなどでかけて試してみてください。
そして、ディレイというエフェクトは、音を遅延させる効果があるエフェクトです。リバーブと合わせて使ったりして、特殊な音を作りたいときに利用できます。
次はノイズ処理です。整音で最も大切な処理の一つと言っていいと思います。ローカットフィルターもノイズ処理エフェクトの一つですが、ノイズ処理にもいろいろなエフェクトがあります。
Adobeの製品を使っている方は、背景ノイズを簡単に処理できるエフェクトで「クロマノイズ除去」というノイズ除去エフェクトを使うことをおすすめします。
このエフェクトは、背景ノイズをきれいに削除してくれるエフェクトとしてかなりクオリティが高く、人の声にほとんど影響を与えることなく、ノイズだけをきれいに削除してくれるエフェクトです。
そして、もう一つは、サ行の歯擦音を除去できる「歯擦音除去」というエフェクトがあります。
ナレーションなどで、サ行がシャキシャキした音で耳障りになる場合があります。その場合、このエフェクトを使うことで、和らげることができます。
そして、もう一つ。ポップノイズを除去できるエフェクトです。
録音時に、ポップガードを使って録音していればあまり気にならないのですが、ポップガードをせずに、あまりにマイクに口を近づけすぎると、ポップノイズが入ることがあります。このエフェクトを使えば、ポップノイズを除去することができます。
最後に
この記事では、動画制作に必要な録音の基礎知識と録音後の整音の基礎知識について解説しました。
この基礎知識があれば、質の高い音声で録音することができ、録音後の編集でもノイズを除去したり、音声効果を付けたりして、クオリティの高い動画を書き出すことができるはずです。
音は、映像とセットで扱うとても重要な要素なので、ぜひ、意識して撮影してみてください。
他の人とはレベルの違うハイクオリティな動画を作り出せるはずです。