動画制作のための一眼レフカメラ(DSLR)の基礎的な仕組みと露出の調整方法

こんにちは、山田どうそんです。

この記事では、これから動画制作をしようと思っている方が学ぶべき一眼レフカメラの基本的な仕組みと露出について解説します。

一眼レフカメラは海外ではDSLRと言われています。

Digital Single Lens Reflex camera(デジタル・シングル・レンズ・リフレックス・カメラ)で、DSLRです。

この基本的な知識を学んでおくことで一眼レフカメラで思ったような映像を撮影することができるようになります。

とても基本的なことだけに特化して掘り下げて解説していきたいと思います。

動画の本質とは?

そもそも動画ってなんだと思いますか?

実はですね、昔、映像が日本にきた時には、「映像」とか「動画」という言葉はありませんでした。

昔の、明治や大正期には「活動写真」とか「自動幻画」「活動大写真」「自動写真」などと言われていたんです。

ちなみに、「映画」と言う言葉が使われるようになったのは、大正の後期からです。

僕のばあちゃんは大正15年生まれなので、このぐらいから「映画」と言う言葉が使われるようになってきたんですよね。

つまり「活動写真」と言う言葉の通り、動画というのは、静止画の写真をパラパラ漫画のように連続で表示させて動きをつけているものなんです。

例えば、iPhoneとかのスマホの中にある写真機能の「連写」で何かを撮影してみてください。

この連写で撮影した写真をスライドして動かすと、動いているように見えますよね。

動画は、これと全く同じ原理なんです。

なので、動画制作をする上で写真撮影の要素を理解しておくことはとても重要になってきます。

特に最近では、ビデオカメラやシネマカメラだけではなく一眼レフカメラでも動画撮影ができるようになってきました。

一眼レフカメラは、もともとは、写真をきれいに撮影することに特化したカメラでしたけども、そのカメラで動画を撮影できるようになってきたことで、とてもきれいでクオリティの高い動画を撮影できるようになってきています。

特に、一眼レフカメラで撮影する場合に重要なポイントとして「露出」の調整というのがあります。

露出をうまく調整することができれば、きれいな写真を撮影することができるんです。

と言うことはつまり、動画撮影でも同じことが言えるということです。

フレームレートとは?

ここでは、フレームレートについて解説します。

フレームレートというのは、静止画像が1秒間に何枚挿入されているか、という値です。

単位は、fpsで、これは、「フレーム・パー・セコンド」の略です。

例えば、30fpsのように表示されます。

これがフレームレートのイメージです。

このように画像が1秒間に何枚入っているかで動画の動きのなめらかさが変わってきます。

一番よく利用されているフレームレートは30fpsです。正確には、29.97fpsと表示されていることが多いのですが、これは約30枚の画像が1秒間に挿入されることを意味しています。

このフレームレートを理解していないと、編集して書き出した時に、うまく映像を書き出せないと言うことが起きてしまいます。

ですので、一番基本的な知識の一つとして、このフレームレートをしっかりと理解しておくことはとても重要なことです。

ちなみに、フレームレートはある程度、規格が決まっていてそれほど多くないので簡単に覚えておくことができます。

まずは、一般的に多くの方がみているテレビのフレームレートは30fpsです。

テレビの前にフィルムでスタートした映画は24fpsが一般的です。

最近では、カメラの性能が上がり、60fpsと言う高フレームレートで撮影できるようにもなってきています。

実は、最近ではさらに上の120fpsのフレームレートでの撮影もできるようになってきています。

あの、ウィル・スミス主演の映画「ジェミニ・マン」は120fpsで撮影されています。

ジェミニマンは、ウィルスミスが、若い頃と今の自分を演じた作品で話題にもなりましたし、最新の映像技術が使われていることでも話題になっています。

フレームレートが高ければ高いほど映像をよりなめらかに表現することができます。

ただ、高フレームレートになればなるほど、データ容量も当然大きくなります。

その場合、かなり高機能なパソコンのスペックがないと編集自体ができないということになりますので、YouTubeにアップロードするような一般的なフレームレートは24fpsや30fpsで十分です。

解像度とは?

ここでは解像度について解説します。

この写真は僕が上野動物園に行った時に撮影した象の写真です。

この象の目元を思いっきりドアップにすると、このように色の粒が集まって画像ができているのがわかると思います。

この1つの粒のことを「ピクセル」と言います。

そして、このピクセルの集合体のことを「解像度」と言います。

1つのピクセルには一色だけしか使われていません。

このピクセルの数が多ければ多いほど画像をよりきれいに、より鮮明に表示させることができます。

よく、「画像が荒い」などと言われますが、荒いと言うのは、ピクセルの数が少なくて解像度が低いことを意味しています。

そして、ピクセルの数が、横と縦にどのぐらいの数並んでいるかというのが規格になります。

昔のテレビは、4:3と言う比率で、720:480と言う規格が主に利用されていました。

これはつまり、横に720個のピクセル数があり、縦に480個のピクセル数があることを意味しています。

それからテレビの規格が変わり、ハイビジョンに変わって少し横長になりました。

この規格は16:9で1920:1080という比率とピクセル数で表示されています。

この横と縦を掛け算すると約200万個のピクセル数になります。

よく、「200万画素」などのように表現されますが、これは画面上に200万個のピクセル数があるということを意味しているんです。

この規格が今最も利用されている一般的な規格で、多くのテレビやパソコンの液晶画面でこの規格が利用されています。

そして、最近ではさらに高解像度の4Kとか6K、8Kなどのような規格も利用されるようになってきました。

Kというのはキロを意味していて1000個のピクセル数があることを意味しています。

4Kは約4000個のピクセルが横に並んでいるということなんです。

最近4Kは、テレビやパソコンの液晶画面でもかなり一般的に利用されるようになってきています。

ちなみに、ハイビジョンのことをFull HD、4KのことをUltra HDというふうにいったりもしますのでぜひ覚えておいてください。

そして、ピクセルに関しては、もう一つ大事なことがあります。

それは、1ピクセルの形です。

ピクセルというのは、正方形のものや長方形のものなどいくつか種類があります。

参照:https://helpx.adobe.com/jp/premiere-pro/using/aspect-ratios.html

これは、Adobeのサイトから参照したものですが、このように、ピクセルの規格にはこれだけの種類があるんです。

一般的には正方形のピクセルの規格が多いのですが、撮影するカメラのレンズによっては、アナモルフィックのピクセルなどもありますので、この規格が正しいかどうかチェックする必要があります。

ちなみに、このピクセルの規格のことを、ピクセルアスペクト比などと表現しますので、この言葉も覚えておいてください。

ピクセルの規格が間違っていると、編集して書き出した時に思ったように書き出すことができないということにもつながりますので、ピクセルの規格はチェックしておきましょう。

カメラの仕組みと露出の関係

これから動画制作をしていく上で、カメラの仕組みと露出の知識を学んでおくことは大事になります。

この仕組みの基本を覚えていくことで、クオリティの高い撮影ができますし、編集して書き出す時にも重要になってきます。

動画制作で必ず必要な3つの要素

ここでは、動画制作する上で必要な3つの要素について解説します。

映像を撮影する時に、必ず次の3つの要素が必要になります。

1つ目は、被写体です。

カメラで撮影する対象物が必要になります。

被写体は、人物や動物、植物、自然など、撮影する対象として様々な物があります。

2つ目は、カメラです。

スマホやデジカメ、ビデオカメラ、シネマカメラ、一眼レフカメラなどいろいろなカメラがありますが、動画を撮影するためには、カメラが必要になります。

3つ目は、光源です。

これは、光のことですね。

真っ暗なところで撮影しても、画面は真っ黒のままで何も表示させることはできません。

この3つが揃って初めて映像を撮影することができます。

つまり、カメラというのは、光源が被写体に当たって、その光をカメラのセンサーで受け取って、写真や映像として表現している機材だということなんです。

露出をとるとは?

ここでは、露出について解説していきます。

カメラの中には、必ずセンサーがあります。

昔のカメラは、このセンサーがフィルムでした。

センサーに光が当たって、映像として表現できるんですけれども、例えば、このセンサーにズッーっと光が当たり続けるとどうなるかというと、真っ白になって何も見えなくなってしまいます。

このように、センサーに対して光の量を調整してきれいな映像として撮影することを「露出をとる」と言います。

そして、露出のとり方には大きく3つのポイントがあります。

1つ目は、シャッタースピード。

2つ目は、絞り。

3つ目は、ISO感度

です。

この3つを調整して、光の量のバランスをとって露出をコントロールしていきます。

シャッタースピードとは?

これは、僕のLUMIXのカメラです。

このように40/1のように表示されています。この部分がシャッタースピードを調整する部分です。

シャッターはレンズの手前に入っていて、ボタンを押したらカシャっとシャッターが開いて閉じます。

このスピードをコントロールすることで光を取り込む量の調整や、映像の質をコントロールしていきます。

シャッタースピードは数字が小さくなるにつれてスピードが遅くなります。

例えば、40/1より10/1の方がシャッタースピードは遅いです。

シャッタースピードが遅くなるということは、それだけ、たくさんの光が入ってきますので、映像が明るくなるんです。

ただし、シャッタースピードが遅くなると、センサーに映り込む時間が長くなるので、映像に残像が残ります。

ちなみに、シャッタースピードを遅くすることを「スローシャッタースピード」などとも言います。

あと、After Effectsなどの編集の時にはこの残像を残す編集のやり方を「ブラー」と言います。

例えば、こんなふうに車の残像が残っている映像を撮影したいと、したとします。

これは、シャッタースピードを遅くして撮影することによって、動いている対象物にブラーを残して撮影している例です。

人の目は、高速で動いている被写体をみた時に、少し残像が残ったように見えます。

なので、自然な映像として見えるようにするためにはある程度の残像が残るようにシャッタースピードを調整することが重要になります。

一番自然に見えるシャッタースピードは、フレームレートに近い30/1ぐらいです。

ですから、自然に表現したい場合は、フレームレートを目安に調整するといいんです。

例えば、夜の星空を撮影したり、暗い場所で光が少ない場合は、シャッタースピードを遅くして少ない光でもより多くの光を取り込むようにします。

ただ、このような撮影の場合、シャッタースピードがあまりに遅いので、ちょっとしたカメラの動きで、大きくブラーが入ってしまいます。

なので、夜景などの星空を撮影する場合は、必ず三脚を利用して、カメラが動かないように固定して撮影しているんです。

よくあるタイムラプス映像なんかも三脚を立てて、シャッタースピードを遅めにして長時間撮影し、それを早送りすることでこのような映像を撮影しています。

では、シャッタースピードを早くする場合はどういう時なのでしょうか?

例えば、サッカーやバスケットとかの素早い動きのあるスポーツの映像を撮影する時に、鮮明に映像を撮影したい場合などには、シャッタースピードを早くして撮影することがあります。

このように用途に合わせてシャッタースピードを調整することで、求める映像を撮影することができます。

そして、シャッタースピードを撮影する時にもう一つ注意が必要です。

それは、フリッカーという現象です。

いわゆる、光のチラつき現象のことを言います。

例えば、蛍光灯やLEDとかの光というのは、高速で点滅を繰り返しています。

人の目には、高速なのでこの点減は見えませんが、カメラだとこの光を正確に撮影してしまう可能性があります。

あまりにもシャッタースピードを早くしすぎると、光の点滅までも素早く記録してしまってフリッカーという現象が起きてしまう可能性があるので、そこに関しては気をつける必要があります。

撮影専用の照明機器を使っているのであれば、フリッカーの心配はほとんどありませんが、例えば自宅の蛍光灯などを光源にして撮影する場合は、注意してください。

もし、どうしても照明機器がなく自宅の蛍光灯を光源にして撮影する場合は、関東の場合は50/1、関西の場合は60/1のシャッタースピードに設定すると、なくなる場合があります。

なぜ、この数値にすると止まるかというと、光の周波数の規格が関東が50kHzで、関西は60kHzだからです。

この周波数にシャッタースピードを合わせることで、フリッカーが起こりづらくなります。

絞り(アイリス)とは?

絞り、またはアイリスとも言いますが、これは、レンズに取り入れる光の量を調整できる機能です。

このように、絞りの数値を調整することで、絞り羽根が閉じたり開いたりしてカメラに入る光の量を調整することができます。

絞り羽根の数は、レンズの種類によって違っていて、高額なレンズになればなるほど数が多くなり細かい調整ができるようになります。

絞りというのは、F値(エフチ)と言われていて、次のような計算式になります。

F=f/D(f:焦点距離、D:レンズ口径)

僕のLUMIXのカメラだと、この部分になります。

F値の数字が小さいほど明るくなります。つまり、絞りが開放されているので、たくさん光が入ってくるということです。逆にF値の数字が大きいほど絞られて光の入ってくる量が少なくなるので暗くなります。

ちなみに、人間の目のF値は約1.0あります。なので普通のカメラレンズに比べるとかなり明るくなります。

それほど、人間の目というのは優れていて、カメラでF値の数値を小さくしようと思うと結構高額なレンズを購入しなくてはなりません。

そして、F値というのは、明るさだけに関係してくるものではなく、被写界深度とも関係してきます。

被写界深度というのはわかりやすく説明すると「ボケ」のことで、ピントが合っている範囲のことを言います。これをデプスとも言います。

よく、花などの被写体だけを鮮明に撮影して背景をボカして味のある映像を撮影したいということがあると思います。

これは、つまり被写界深度が関係しているんです。

最近、多くの方が一眼レフカメラで動画制作する理由の一つに、この「ボケ」効果を出せるというのがあります。

これまで、ビデオカメラではなかなか表現できなかった、一眼レフカメラならではの、ボケ感を出した撮影ができるということで、一眼レフカメラでの動画制作が増えているんです。

F値を小さくすると、ピントが合う部分が限られてくるので、いわゆる「ボケ」というのが出やすくなります。

逆に、F値を大きくすると、全体にピントが合うので、背景までくっきりと表現することができます。

僕は小学校の頃に、目が悪くて黒板の字を見るのに目を細めて見ていました。

そうすることで、普通に見開いていると見えない文字もちゃんと見えるようになりました。

つまりこれと同じ原理で、F値を上げると絞られるのでピントが合う部分が広がって、画面全体がくっきりと表示されます。

ただ、F値を上げると暗くなるので他の部分で調整して露出をコントロールする必要があります。

撮影用途によって、F値の値を調整して背景をボカしたりくっきりさせたりして撮影をします。

ISO(イソ)感度とは?

ISO感度というのは、光をセンサーで受け取った時のセンサーの反応のことを言います。

僕のLUMIXのカメラだとこの部分になります。

ISO感度を上げることによって、少ない光でも明るさを上げることができます。

ただ、ISO感度はあまりに上げすぎると、無理やりセンサーの感度を上げているので信号を間違って捉えてしまう場合があります。

これがノイズとして映像に出てしまいますので、ISO感度はあまり上げすぎずに他の要素とバランスを取りながら調整していくことが大事です。

例えば、室内で普通の光量で撮影する場合は、ISO感度を800や1600とかにして高く設定しないとうまく録画できない場合があります。

でも、外に出ると太陽の光がとても強いので、ISO感度は100とか200のようにかなり小さくしないと、逆に明るすぎて画面が真っ白になってしまいます。

太陽の光というのは、例え曇りや雨でも、かなり強い光なので、それほどISO感度を上げなくても適度な明るさで映像を録画することができます。

このように、それぞれのシュチュエーションに合わせて、どの要素を調整するのかを考えながら数値を設定して映像を撮影する必要があります。

ちなみに、室内の撮影であまりに暗すぎてISO感度を大幅に上げたとします。

でも、今度はISO感度が上がりすぎて、ノイズが多くなってしまうので、どうしてもこれ以上は上げられないということが出てきます。

そういう場合は、照明機器を使って光量を増やして、ISO感度を下げてノイズが出ないように撮影する必要もあります。

正直、室内の場合は余程明るくない限りは照明機器がないと思ったようなきれいな映像は撮れないので、安い照明機器でもいいので、セットで活用することをお勧めします。

NDフィルターを使って光の加減を調整する

基本的に、この3つの要素を使って露出をとっていきますが、例えば野外で撮影する場合に、どうしてもこれ以上F値の数字を下げたくないという場合や、シャッタースピードを遅くしたくない場合、ISO感度もこれ以上は上げられないというケースが出てきます。

その場合には、NDフィルターというフィルターをカメラのレンズに被せて光の量を調整して露出をコントロールすることができます。

NDというのはニュートラル・デンシティ(Neutral Density)の略で、Google翻訳すると、「中性密度」となります。

これは、光の濃度を中立にするという意味になります。

NDフィルターは安い物を購入してしまうと、光の量は抑えられますが、時々、色が変わってしまう場合があるので注意してください。

一眼レフカメラは基本的にNDフィルターは外部に装着します。

ビデオカメラやシネマカメラは内蔵されていて、最初からついている場合もあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

一眼レフカメラは難しいイメージがありますが、今回お伝えした3つのポイントを理解して露出をちゃんと設定することができれば、とてもきれいな映像で撮影できるのできっと楽しんで動画を撮影できるはずです。

最初は、露出を合わせるのが難しくて思ったような映像で撮影できないかもしれませんが、いろんなシュチュエーションで、ともかく何度も撮影してすぐに露出を調整できるようになってみてください。

そうすると、きっと一眼レフカメラで撮影するのが楽しくなってくるはずです。

実は、僕が紹介したLUMIXのカメラは正確には一眼レフカメラではなくミラーレスカメラと言います。

多少の違いはありますが、基本的な考え方は同じなので、あなたが聞いたことがあるであろう、一眼レフカメラという言葉で今回は解説しました。

ミラーレスカメラはとても高いクオリティで動画撮影ができるにもかかわらず15万円前後という安価な価格でカメラを購入できるので、初心者には特にお勧めです。 僕が使っているのはLUMIXのDC-G99です。

リーズナブルな価格なのに高機能なのでとても使いやすいです。

ということで、これらの知識を生かして高画質な映像を撮影できるようにトライしてみてください。