今日は、戦略のフレームワークの一つである、ビコーズフレームワークという考え方を共有したいと思います。
このフレームワークは、ジェリー・オブライエンという方が提唱した概念です。
顧客のビコーズ(根拠)を明確化して
「なぜ、人はあの商品ではなくこの商品を買うのか?」
「顧客が特定の商品を選ぶように誘導するにはどうすればいいのか?」
という問いに対して答えを出していきます。
ビコーズフレームワークは、本来は合計7つのステップでお客さんに購入してもらうために必要な要素を洗い出していきます。
そして、この7つは1〜4までを「4つの革新的な問い」として、5〜7までを「3つのアクション」として分けます。
ただし、このニュースレターでは、「4つの革新的な問い」までにとどめたいと思います。
なぜなら、これがわかればあとは行動するだけだからです。
5〜7つの「3つのアクション」は、企業のような大きな会社向けに最適化されているものです。
僕らのような個人や小規模ビジネスは1〜4まで学べば、あとはシンプルにアクションしていくだけで問題ありません。
それでは、その4つを明確化したいと思います。
- 理想的な顧客とは?
- 顧客についての洞察は?
- もたらす成果は?
- 「ビコーズ(根拠)」は?
この4つです。
それでは、1つずつ掘り下げてみていきたいと思います。
■1、理想的な顧客とは?
僕がいつも言ってることですが、ビジネスというのは、最初に顧客のことを理解することが何より大事です。
ビジネスの基本は問題解決です。
あなたの顧客はあなたと「親密」な関係を築きたいのではなく「有益」な関係を築きたいと思っています。
この大前提を忘れて、フォロワーやチャンネル数のような虚栄の数字(ヴァニティメトリクスと言います)を追い始めてしまう人が後を立ちません。
そのために、まずはあなたの理想的な顧客を明確化して、誰のどんな問題を解決するのか、を考える必要があります。
その時に、まず最初に行うべきが「絞り込み」です。
「絞り込み」がビジネスに与える影響はこんなにもたくさんあります。
- 自分の判断は正しいと顧客の確信を強める
- 信頼が高まる
- 顧客の紹介が増える
- 価格を上げることができるので利益率が高くなる(専門家に対して喜んで支払う)
- 顧客に対して、より実用的な洞察が可能になる
- マーケティングの対象を絞り込める
- イノベーションを起こす対象を絞り込める
- 利益率の低い顧客を排除できる
- 自分の専門知識が増え、その専門分野でより一層成果をあげることができる
このように絞り込むことで、これほどプラスの影響があります。
ビジネス初心者が最初にやってしまう間違いが「顧客を広げる」という意思決定です。
これをやった時点で、結果を出す難易度は跳ね上がってしまいます。
あなたの理想の顧客を見極めること。
まずはそれが大事です。
そのために最初に行う具体的なアクションは、「売り込む可能性のある顧客の母集団を絞り込む」ということ。
つまり、どの市場を狙いにいくか、ということです。
そのための効果的な12の質問がありますので参考にして下さい。
- あなたがサービスを提供することで一番になれるのは、どんな相手か?
- 競合他社によるサービス提供の効果が出ていないのは、どんな相手か?
- 気持ちよく取引できるのは、どんな相手か?
- 購買意欲が高いのは、どんな相手か?
- 取引あたりの金額が大きいのは、どんな相手か?
- 収益性が高いのは、どんな相手か?
- 取引頻度が高いのは、どんな相手か?
- 見つけいやすいのは、どんな相手か?
- 自分が最も得意とする仕事を必要としているのは、どんな相手か?
- 自分に案件を紹介してくれるのは、どんな相手か?
- 長期的なビジネスチャンスがあるのは、どんな相手か?
これらの質問に答えたら、その市場の顧客規模を調べてください。
今の時代、AIに質問すれば概算で調べることができます。
この時のポイントは、市場規模があまりに小さすぎても大きすぎてもいけないということです。
極端な話10人しかいない市場規模でビジネスを展開しても、そもそもお客さんがいないので、ビジネスになりません。
逆に、1億人もいる場合は、もう少し絞り込む必要が出てきます。
僕の数字的な目安としては「1,000人のファン」を作れるぐらいの市場規模がいいと考えています。
なぜなら、1,000人のファンを作ることができれば、最低でも年商1,000万円以上を安定して稼ぎ続けることができるからです。
この数字を目安に、自分が求める売り上げに対して、どのぐらいの市場規模がいいのか、考えてみてください。
このように、顧客を絞り込むことができれば、メッセージが明確になります。
それが信頼につながります。
なぜなら、顧客が「あなたを理解している」ということを認識するからです。
人は、自分を理解してくれる人を信頼します。
このように、何かに特化することは強力な「ビコーズ(根拠)」を作り出すことに繋がります。
■2、顧客についての洞察は?
理想的な顧客を絞り込んだら、次はその顧客についてより深く理解するためのインサイト(洞察)を探ります。
なぜ、インサイト(洞察)を探る必要があるかというと、
「顧客が望ましいと思っていることを増やして、顧客が避けたいと思っていることを減らす」
ためです。
言われてみたら当たり前のことですが、これができていない商品やサービスはたくさんあります。
わかりやすいのが、昔のレンタルビデオです。
まず、レンタルしに行っても、最新版が全て借りられていて、視聴したい時に見れない。
しかも延滞すると、高額な延滞料を請求される。
昔、1週間返却するのを忘れて、8,000円以上払った経験があります。
確かに忘れた方が悪いのかもしれませんが、このようなレンタルビデオのビジネスモデルに嫌気がさしていました。
そこで出てきたのがNetflixですよね。
Netflixは、顧客が避けたいと思っていることを減らしてくれました。
このように、自分がやっているビジネスモデルの中で当たり前だと思い込んでいるけど、顧客にとって避けたいと思っているものはないのか?
そして、それによって望ましいことに転化できることはないのか?
考える必要があります。
それでは、顧客についての洞察を得るための6つの問いをチェックしていきましょう。
- 顧客が望ましいと感じることは?
- 顧客が避けたいと感じること(不満の種)は?
- 顧客が期待していることは?
- 顧客が危惧していることは?
- 顧客が真剣に解決しようとしている問題は?
- 顧客が現時点におけるものの感じ方や考え方は?
これらを考えてみてください。
できる、できないは一旦脇に置いておきましょう。
まずは、顧客視点に立って、わがままに考えてみてください。
そこに、あなた独自の優位性が見つかるはずです。
ここで注意したいのは、顧客の洞察というのは、あなた視点で語ることではないということです。
販売者視点と顧客視点というのは思っている以上に違うものです。
ここは、気をつけたいところです。
そして、洞察には大きく2種類あります。
合理的な洞察と感情的な洞察です。
例えば、顧客は価格を重視するものだ、というのは合理的な洞察です。
一方で、私は何よりも家族のためになる意思決定をしたい、というのは感情的な洞察です。
両方含むものもあります。
私は故障しない車が欲しい、なぜなら家族の安全のためだ。
このように、洞察には、合理的なものと感情的なものがあります。
洞察を明確化する時、この2つの違いを把握していくことが大事です。
なぜなら、人は両方の要素で意思決定をしてるからです。
どちらか一方で決めてるわけではありません。
人は、何か意思決定をする時に、「まちがえたくない」「失敗したくない」と思っています。
その時に、この2つの要素が混在して出てきます。
それをまずは売り手の僕らが理解すること。
これがものすごく大事です。
これは脳科学で、すでに明確になっている事実です。
「脳は感情的な判断を下すうえで合理的な理由を探す」
このようにセットなのです。
では、これらの洞察を得るための具体的な6つの方法を共有します。
- 顧客に聞く
- 見込み客に聞く
- 逃した顧客に聞く
- アンケートをとる
- 購入後のフォローアップをする
- 競合を研究する
ぜひ、これらを実践して顧客のインサイト(洞察)を探ってみてください。
多くの人が、この手順を飛ばして、自分の想像でビジネスを構築してしまいます。
このひと手間を入れるだけで、ビジネスで成功する確率が大幅にアップします。
■3、顧客に対して約束できる成果は?
顧客についての洞察を得たら、今度は顧客に対してあなたが一旦どんな価値を提供できるのかを伝える必要があります。
それを明確化して、言語化する作業が大事です。
僕はいつも言ってるのですが、多くの人が、「自分ができること、やりたいこと」から最初に話し始めます。
そうではなく、顧客はあなたができることではなく、あなたがどんな成果を約束してくれるのかを知りたいんです。
顧客が買ってるのは厳密にいうと商品ではなく、「成果」です。
もっというと、その商品を買った後の「変化や未来」を買っています。
そのために、あなたは何を約束するのか?
これを考える必要があります。
ただし、ただ、成果を約束するだけではダメです。
例えば、
顧客(洞察):「あなたは私にどんな成果を約束してくれるのですか?」
あなた(成果、約束):「私は、Udemyで1,000人以上の受講生を作るお手伝いができます」
どうでしょうか?
このように伝えて、顧客は素直に、信じてくれるでしょうか?
もし、あなたが逆の立場になって、この回答を得た場合を想像してみてください。
信じますか?
おそらく信じないですよね。
そうです。
ここに、「ビコーズ(根拠)」が何一つ入っていないからです。
では、さっきの例えの後に「ビコーズ(根拠)」を追加してみます。
顧客(洞察):「あなたは私にどんな成果を約束してくれるのですか?」
あなた(成果、約束):「私は、Udemyで1,000人以上の受講生を作るお手伝いができます」
ビコーズ(根拠):「なぜなら、私はUdemyというプラットフォームで3万人近くの受講生を抱えていますし、これまで多くの生徒にコミュニティを通して受講生1,000人以上を達成するサポートをしてきたからです」
どうでしょうか?
たった、この一文、「ビコーズ(根拠)」が入っただけで、信頼性が格段に上がったと思います。
人は、常にこの質問をあなたにしてると思ってください。
「私は、なぜ?あなたの商品を購入する必要があるのですか?」
それに対してあなたが、
「なぜなら…(ビコーズ:根拠)」
と、話を続けられなければ、あなたの商品を買う人はいないということです。
多くの人が、このシンプルな「ビコーズ(根拠)」に向き合っていません。
あなたしか提供できない価値と向き合うこと。
それがとても大事なのです。
人は、顧客があなたから商品を買う「感情的な判断」をする上で、「合理的な理由」を探しています。
それがビコーズ(根拠)です。
そして、あなたの約束(成果)を、ビコーズ(根拠)と結びつけることが、「お金を払う」という行動につながっていきます。
ここまで読んでいただくと、言われてみれば当たり前なことですし、そんなに難しくないように見えます。
でも、実際は多くの人がこのビコーズ(根拠)と向き合っていませんし、ありきたりな主張をしています。
なぜか?
それは、あなたのビコーズ(根拠)が、既視感のない、誰も言っていない内容にしなくてはならないからです。
だから、ビコーズ(根拠)を見つけるのは容易ではありません。
めんどうくさいのか?資金がかかるのか?
ともかく、参入障壁が高いことにチャレンジするということです。
そして、そのビコーズをどうやって信じてもらうか?
そこが、鍵になります。
誰でもいうだけならタダです。
「あなたをたった1日でモデルのような体型にします。なぜなら、私は100万人をたった1日でモデル体型に激変させたからです。」
とても素晴らしい、約束であり、ビコーズですね。
でも、こんなことを信じる人がこの世の中にいるでしょうか?
おそらくいません。
ということは、次に大事なことはそのビコーズ(根拠)を信じてもらうことです。
■4、顧客の信頼に足る「ビコーズ」は?
ここまでで、ビコーズ(根拠)が顧客に対してどのように影響を与えるか、はご理解いただけたと思います。
ですが、大事なのはこのビコーズ(根拠)を顧客が信じるか、信じないか、ですよね。
ここで、ある有名な事例を紹介します。
おそらく、この話は誰でも一度ぐらいは聞いたことがあるほど有名な話です。
ロバート・チャルディーニ博士の「影響力の武器」で紹介された、コピー機に割り込んだ時にお願いするやり方によってコピーを取らせてもらえる確率が変わったという話です。
この実験を行ったのは、1970年代後半に人を動かす働きかけに関する研究をしていた「エレン・ランガー博士」が行った研究です。
ランガー博士は、ハーバード大学で史上初の女性終身教授になった米国の心理学者です。
その方の実験が、影響力の武器で紹介された事例なんです。
わかってる方もいるかもしれませんが、わからない方のために詳細をお伝えします。
ニューヨーク私立大学大学院センターの図書館にあるコピー機でその実験は行われました。
このコピー機に当時、多くの学生がコピーをするために並んでいました。
実験で、学生にいろいろな言葉を言って、列の先頭に割り込もうとしてもらって、どの言葉が説得効果が高いか調べました。
最初の実験で、学生は、
「すいません、5ページだけなのですが、コピー機を使ってもいいですか?」
とお願いをしました。
この場合、列に割り込ませてもらえた割合は60%でした。
これが基準値になりました。
なぜなら、この言葉は「理由」を何も言わずに、ただお願いしただけだったからです。
2つ目の実験では、次のように理由を言いました。
「すいません、5ページだけなんですけど”急いでいるので”コピー機を使ってもいいですか?」
この場合、94%の人が列に割り込ませてくれました。
そして、3つ目の実験では、無意味な理由をつけて頼んだんです。
「すいません、5ページだけなんですけど、”コピーをとらなくてはならないので”コピー機を使ってもいいですか?」
こんな理由とも言えない理由を伝えました。
しかし、この場合も93%の人が列に割り込ませてくれました。
ここまでがロバート・チャルディーニ博士の「影響力の武器」で話されていた内容です。
非常に有名ですよね。
この本は500万部以上のベストセラーで、ビジネスをやっている人であれば、誰でも一度は読んだことがあるぐらい有名な本だと思います。
だから、この内容はオンラインビジネスでもよく引用されて、意味がない言葉でも「理由」を述べる重要性、というのが方々で語られました。
まるで、「〜ので」、「〜だから」という言葉が魔法の言葉のように語られたんですね。
ですが、実はその後の2段階目の実験があるということを、「影響力の武器」では伝えていません。
第一の実験では、ちょっとした頼み事である「5ページだけコピーさせてほしい」の場合は無意味な理由を伝えるだけでよかったんです。
しかし、第二の実験では、ちょっとした頼み事ではなく「大きな頼み事」をした実験が行われました。
第二の実験では、5ページではなく20ページのコピーをお願いしたんです。
つまりは、「大きな頼み事」です。
この場合、無意味なお願いバージョン、
「すいません、20ページだけなんですけど、”コピーをとらなくてはならないので”コピー機を使ってもいいですか?」
このお願いをした場合は、最初の、
「すいません、20ページだけなのですが、コピー機を使ってもいいですか?」
このお願いと、対して結果に差がでなかったんです。
つまり、「大きな頼み事」をする場合は、無意味な「コピーをとらなくてはならないので」では、意味がないということです。
このように大きな頼み事をする場合は、「論理的な説得力のある内容」しか、成果が上がらなかったという結論に達しています。
ここで考えて欲しいのは、僕らのお願いは、「ちょっとしたお願い」でしょうか?
いいえ、僕らのお願いはお金を払ってもらうという「大きなお願い」なんです。
ということは、論理的で説得力のある理由、つまり「ビコーズ(根拠)」が何より重要になるということにつながります。
つまり、あなたの商品が売れるかどうかの鍵は「ビコーズ(根拠)」の信頼性にかかっているということなんです。
■まとめ
ここまでで、ビコーズ(根拠)の重要性を全て理解できたと思います。
ぜひ、ここと向き合ってください。
顧客は「ビコーズ(根拠)」なしのあなたの主張(約束)」を聞いても、顧客の脳、腹の内、潜在意識では信用していません。
顧客を説得するときは、洞察、成果、そしてビコーズ(根拠)を全て語り切る必要があります。
先ほども言いましたが、人は感情的な判断をしますが、その判断が正しいかどうかという合理的で論理的な証拠を探します。
それの鍵がビコーズ(根拠)なんです。
そして、ビコーズ(根拠)は、価格以外のところに目を向ける力があります。
ここを明確にして、磨き続けることが僕らオンラインビジネスの仕事と言っても過言ではありません。
ということで、ぜひ考えてみてください。
それではまた。











